bookoffで「ダーリンの頭ン中 英語と語学」と「武士道」の対訳版を買ってきた。どちらもまだ読み始めたばかりだけど、すごく面白い。
本屋さんや図書館に行くと、今の自分の興味がもろに出る。ここのところは日本の文化。
海外で暮らしていると、特に欧米の文化と比べて日本のそれがいかに特殊であるかがわかる。ヨーロッパにいたときは正直どこの国に旅行に行っても似たような建物に出くわすし、国境を越えたからといって隣国とそれほど差異は無かったりする。しかしヨーロッパやアメリカから見ると、日本やアジアの文化というのは全く別の世界のものに見える。日本にいたらこれが「あたりまえ」だと思って過ごしてたんだろうなあ。
中学1年生で始めて3週間アメリカに来た。短い期間ではあったが、現地の子供たちと一緒にキャンプで生活したり、ホームステイをしたり。とにかく英語が話せないことへの苛立ちとくやしさと、日本の文化についてあまりにも知らなすぎるという焦りと、陽気なアメリカ人と文化への憧れとともに帰国したのを覚えている。
それからというもの英語は特別興味を持って勉強したし、旅行だったり留学だったりチャンスを見つけては出来るだけいろんな国へ行ってみた。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、フィンランド、スウェーデン、ロシア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、カナダ。そこで会った人たちのことも考えれば、相当な数の文化に触れてきたし、それと同じくらい日本の文化や日本語についても聞かれた。過労死や震災、変わった食べ物などを除けば、わたしが関わった人たちは概して皆日本に対して良いイメージと興味を示してくれた。
ここ1年間はほぼ海外にいることになるが、決して欧米万歳で日本にコンプレックスがあるわけではない。むしろ世界の中で異彩を放っている自分の国、文化を誇りに思う。どこにいても自分のアイデンティティは日本人だし日本文化から完全に離れて生活することはもう出来ないんじゃないかと思う。バスタブ恋しいし醤油が無いと料理もできないよ。(大げさか。)
話がそれてきたが、なぜ先に書いた2冊の本を買ったかというと…
日本で「あたりまえ」だと思っていることが世界でも「あたりまえ」だとは限らないし、そもそも自分にとっての常識が他人にとっても常識であるとは限らない。
ということを最近痛いほど実感しているからだ。身近に常に日本語や日本の文化について質問してきてくれる人がいるおかげで、普段何気なく使っている日本語や自分にとってあたりまえだと思っていたこと、常識だと思っていたことを改めて考え直すことを強いられている。良い意味で。そしてそれらを説明することのなんと難しいことか。。
また、自分の言動や考えを決定するのは自分が育った環境や性別の違いなど様々なことに起因するのだろうが、その要因の一つに確実に文化があるとわたしは思う。個人の考え方の違いは文化のせいである部分もあると思うのだ。それもまた自分が何故それを当たり前だと考えていたのか考えなおさなければ説明できない。
未知の文化との遭遇で、最近こんな面倒な事態が多発している。面倒であると同時に面白いと思ってしまうのだけれど。斯くしてこの2冊の本を買うに至った。
「ダーリンの頭ン中 英語と語学」(小栗左多里&トニー・ラズロ)ではノンネイティブから見た日本語の不思議さがわかる。生まれたときから日本語に囲まれて生きてきたわたしたちと、後天的に外国語として学習している人たちとでは明らかに着眼点が違う。先日私生活で発覚したのはネイティブとノンネイティブとでは効果的な漢字の勉強法も違ってくるということ。長くなるので詳細を書くのは避けますが。とにかく、日本語を(この本の中では英語も)新鮮な切り口で考えるのは面白い。
そして新渡戸稲造の「武士道」。彼は「太平洋の橋たらん」と渡米し国際平和に貢献した。序文によると、アメリカ人の奥様から日本で行き渡っているさまざまな考え方や習慣についての理由を何度も訪ねられ、その答えが封建制と武士道の中にあると発見し「武士道」を著すきっかけになったらしい。新渡戸稲造も例外ではなく日本人の考え方の根本にあるものについて考えさせられたようだ。何が「あたりまえ」や常識をそれたらしめているのか、彼にとってその答えは武士道にあったということだろう。
歴史は繰り返すというが、2013年の今、一大学生のわたしも新渡戸稲造と同じ問題に直面している。もっと言えば「ダーリンの頭ン中」だって漫画家の小栗さんがダーリンであるトニーに出会って質問されたことをもとにつくられた漫画だ。稲造とわたしと同じじゃないか。今まで一体何人の人が同じことをぐるぐる考えてきたのだろうか。それぞれが何らかの結論にたどり着いたのなら、先人から学ばない理由はない。
自分のアイデンティティの根本にある日本の文化と今一度しっかり向き合いたい。どんな質問もかかってこいってんだ。
長々と失礼しました、以上です :p
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